絵本制作ミニ知識

絵本印刷が初めてのお客様は、「絵本ミニ知識」で基礎知識を学びましょう。
本の各部分の呼び方

天・・・本の上の部分。

地・・・本の下の部分。
小口・・本の開く側。
背・・・本のとじられた側。
のど・・本のとじられた側の中側。
見返し・表紙と本文をつなぎ止める役目をする紙。
扉・・・本を開いたときに入るタイトルページ。
奥付・・本の一番うしろにある定価や発行所などを記したページ。

表紙の種類

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上製本(ハードカバー)

一般的な絵本で使われている製本方法です。表紙は厚紙で包みます。

本文と表紙は別々に印刷し、見返し紙をつかって接着します。手荒に扱う子どもでも、本が壊れにくく、耐久性にすぐれています。印刷・製本する費用は高くつきます。
一定のページ数がなければ、背幅がつくれないので、最低でも16ページは必要。

並製本(ソフトカバー)

月刊雑誌絵本などでよく使われている製本方法です。表紙は本文よりも厚手の紙を使います。

表紙で本文をくるみ、特殊な接着剤または、糸やステープラで綴じます。印刷する費用は上製本に比べると安くなります。

本文の綴じ方

無線綴じ

特徴

  • 特殊な強力な接着剤を使って、本文を綴じます。
  • 少部数のサンプル本におすすめ。
  • 簡易な綴じ方のため、本の扱いが荒い子ども向けの絵本には向きません。
  • 時間がたつと、ページがばらけてくることもあるのでオフセット印刷ではおすすめしません。
    ※数年でページがばらばらになっても、当店では修理は行っておりませんのでご了承ください。
  • 上製本で、ページ数が16ページなど少なかったり、ページ数が40ページを越えたり、サイズが小さい場合、ページの開きが悪くなります。
  • 装丁によってはページが開かないこともでてきます。
  •  並製本・無線綴じでは、背タイトルは入れられません。ページ数が大幅に増えて、背幅が5ミリ以上できれば、背タイトルを入れることも可能です。

オンデマンドで、20~200冊印刷する場合、無線綴じの方がコストが高くなることもあります。

[無線綴じ・レイアウトの注意事項]

無線綴じ印刷のレイアウト

  • 無線綴じは、「のど」部分の開きがよくないので、見開きで絵を描いている場合は、原画の描き方を注意しなければなりません。
  • 原画を見開きページ(2ページ)で書いている場合、本を綴じる「のど」部分の絵が5~7ミリ隠れます。
  • 描く時のレイアウトを工夫してください。
  • 中央部分の絵に段差ができたり、見えにくくなるのを覚悟のうえでご利用ください。

ミシン綴じ(中綴じ)

上製本・ミシン綴じ

並製本・ミシン綴じ

特徴

  • 並製本・ミシン綴じの背はミシン糸はみえません。
    ※ミシン糸がみえるページになるのは、本文ページ全体の中央になる見開きページだけです。他のページは、糸はみえません。
  • 耐久性にすぐれて本文がバラバラになりにくいメリットがあります。
  • 費用は、無線綴じに比べ高くなります。
    ※オンデマンドで、20~200冊印刷する場合、無線綴じの方がコストが高くなることもあります。
  • ミシン綴じができるのは、本文ページが32ページまでです。
    オンデマンド印刷の場合、32ページ以上は、無線綴じ製本のみとなります。
  • 8の倍数(16、24、32)ページが基本。26ページ、28ページの場合、4ページ分を見返し紙(本文と同じ紙を使う)に印刷する方法にします。
  •  並製本・ミシン綴じでは、背タイトルは入れられません。ページ数が大幅に増えて、背幅が5ミリ以上できれば、背タイトルを入れることも可能です。

PUR製本



特徴

  • 新しいタイプの無線綴じ。のどが180度ひらきます。手を離しても綴じません。
  • 接着強度にすぐれているため、ひっぱってもページがばらばらになることはありません。
  • 上製本(ハードカバー)製本では使えません。並製本(ソフトカバー)のみでの対応となります。
  • ページ数が少ない場合、背タイトルは入れられません。ページ数が大幅に増えて、背幅が5ミリ以上できれば、背タイトルを入れることも可能です。

糸かがり綴じ(30冊以上の印刷のみ対応)

特徴

  • 糸で本文を綴じていきます。
  • ミシン綴じとは違い、ページ数が多い場合にも対応しています。
  • ミシン綴じより割高になります。
  • 30冊以上ご注文の場合のみ対応可能。
  • ージ数は、必ず8の倍数にしてください。
  • 糸は、16ページ単位でかがっていきます。糸のみえるページと見えないページがでてきます。

オフセット印刷は、300冊以上の印刷としています。

上製本 オンデマンド印刷 オフセット印刷
無線綴じ サイズが小さいとできない。
10冊までのサンプル用の製本。
数年で劣化する。
横幅210ミリまで。
最大56ページ程度。
4の倍数ページ。
糸かがり・ミシン綴じのみ
ミシン綴じ 横幅200ミリまで。
32ページまで。
8の倍数ページ。
サイズ規定なし。
32ページまで。
糸かがり綴じ 横幅200ミリまで。
8の倍数ページ。
30冊以上の注文。
サイズ規定なし。
8の倍数ページ

表紙の加工

光沢PPコート
PPコート加工をすると、5~10%程度赤っぽくなります。表紙に汚れがついた場合、アルコールなどを含ませた布で軽く拭くときれいになります。

マット加工

表面をつや消しのマットPP加工をします。
マット加工とPP加工の違い
マット表紙加工の注意点
表紙を黒っぽい色でオンデマンド印刷でご利用の場合、少し表紙に空気が入るのが目立ちます。
表紙にキズがつきやすくなります。梱包していてても、郵送中に多少のキズがつきますので、ご了承ください。

表紙が白っぽい色でしたら空気が入ってもキズがついても目立ちません。
マット加工は、1冊あたり100円の追加料金が必要です。

見返し紙

上製本の見返し紙
必ず、見返し紙が必要となります。
表紙裏に見返し紙をつけて、表紙と本文をつなげる役目をします。

1ページ(扉)の横は必ず、見返し紙になります。32ページ、24ページ最終ページ横にも見返し紙がきます。

並製本の見返し紙

並製本にも見返し紙をつけることができます。見返し紙をつけることにより、表紙が少し丈夫になります。

並製本で見返し紙を使う場合、1ページ(扉)の横は必ず、見返し紙になります。32ページ、24ページ最終ページ横にも見返し紙がきます。

見返し紙として使える紙の種類

色上質紙

紙製造メーカーの都合で、色が廃盤になっている場合もございます。(パソコンの色調整によって、見本色と色が違ってみえる場合もございます。)
入稿の時に、第三希望色までお知らせください。
「マーメイド」、「レザック66」「タント紙」なども別途費用で見返し紙として利用できます。
見返し紙に印刷することもできます(別途費用が必要です)。

印刷の種類

オンデマンド印刷 (少部数印刷)

本のサイズ

  1. 1~300冊以内の少部数印刷にむいています。好きな冊数を無駄なく印刷できます。
  2. カラーコピーのように、1ページあたりの印刷料金が決まっているため、たくさん印刷しても単価は安くなりません。
  3. トナー印刷のため、印刷に光沢感があります。
  4. 5冊以上の印刷は、1ページの横幅を200ミリまでに設定してください。
  5. 特色印刷や金、銀、白、蛍光色といった特別な色の印刷はできません。
    ※原画で金、銀、蛍光色を使われている場合は、印刷をお断りしておりますのでご了承ください。「印刷の色が変わってもよい」とあらかじめ了解いただけた場合のみ印刷しております。
  6. 増刷したとき、初回印刷時と色味がかわることがあります。初回印刷と増刷の色を全く同じにすることができません。

オフセット印刷

  1. 書店で販売している本の印刷は、ほとんどがオフセット印刷。
  2. 300冊以上の印刷にむいている。
  3. 刷れば刷るほど1冊あたりの単価は安くなりますが、部数が少ないと、色校正出力などの費用が高く逆に割高になります。
  4. 印刷は印刷用インクで刷るので、しあがりはマットです。
  5. 特色印刷や金、銀、白、蛍光色といった特別な色の印刷には別途料金が必要。(当店では、特色印刷に対応しておりません)
  6. ページ数は、16ページ以上で必ず8の倍数ページに設定。
  7. 商業印刷向けですが、販売して利益をえるためには、一度に1000冊以上印刷しないと難しい。
上製本
オンデマンド印刷 オフセット印刷
部数 少部数印刷 300冊以上の印刷
サイズ 横幅200ミリまで。
最大・横幅210ミリまで可能。
A4横長、B5横長、B4横長の印刷はできません。
印刷サイズに限界があります。
自由設定可。ただし、大型本などは料金が高い。
印刷注意 横幅200ミリを越える時は、印刷は5冊まで。 最小印刷部数は、100冊から可能。ただし、100冊でも300冊と同額の固定費用が必要。
必要ページ数 最低16ページ必要 最低16ページ必要
無線綴じ サイズが小さいとできない。
10冊までのサンプル用の製本。
数年で劣化する。
横幅210ミリまで。
最大56ページ程度。
4の倍数ページ。
糸かがり・ミシン綴じのみ
ミシン綴じ 横幅200ミリまで。
32ページまで。
8の倍数ページ。
サイズ規定なし。
32ページまで。
糸かがり綴じ 横幅200ミリまで。
8の倍数ページ。
30冊以上の注文。
サイズ規定なし。
8の倍数ページ

印刷の色


印刷物は、黒、シアン、マジェンダ、イエローの4色で印刷します。微妙な色合いも表現しやすくなったとはいえ、4色の色を複雑に混ぜ合わせて色を表現するため、画材の色ほど豊富な色は表現できません。家庭用のプリンターに使われている蛍光色も通常ではつかわないため、透明度の高い色は表現しにくくなります。中間色などは、原画との色あわせが難しくなります。

RGBとCMKYの色の差

家庭用のプリンターで印刷したり、パソコンのモニターで見ている色と印刷機で印刷した色とは違ってきます。

RGBの色(家庭用プリンターやモニターの色)
CMKYの色(印刷機で印刷したときの色)

同じ色でも、印刷機で印刷するとこのように色は変わってしまいます。家庭用のインクジェットプリンターに比べて、暗めのトーンになります。
RGB設定では、透明感のある色ですが、印刷すると黒っぽく不透明な色になります。だからといって、色を薄くぬると、印刷したときに全く色が出ないこともありますので要注意です。
一度、ご自分の作品をカラーコピーしてみると、印刷した時の雰囲気の仕上がりがわかります。コピーをしてみると、彩色が薄くて、色がなくなってしまう箇所もよくわかります。

色についての注意点

少部数印刷でつかう「オンデマンド印刷」は、手軽に印刷できますが、オフセット印刷と違い色の調整が難しい機械です。「原画と全く同じ色でないとイヤ!」というお客様は、絵本印刷をご遠慮ください。
あくまでも、印刷物はシアン、マジェンダ、イエロー、黒の4色を複雑にかけあわせて色表現している物です。印刷物は原画と色が違ってくるということを理解していただいたうえで、ご利用ください。

印刷物のページについて

上製本・24ページ 文字が横書きの場合のページ進行
24ページは、扉(1ページ)+11見開き+奥付ページ。
32ページは、扉(1ページ)+15見開き+奥付ページ。
16ページは、扉(1ページ)+7見開き+奥付ページになります。

●16、24、32ページのストーリーボード用紙

エクセルファイル形式で作成しています。ページ進行の確認用にご利用ください。
文章横書きの場合

オフセット印刷は、ページは必ず8の倍数で。


印刷物を印刷するときには、できるだけ大きな紙でページを効率よくつけあわせて印刷します(面付けといいます)。面付け作業は、たいてい16ページ単位で行い、印刷後、紙を折り曲げて本文ページをつくります。 14ページで印刷して欲しいと思われても、かならず、ページの裏か表に必要なページがありますので、2ページだけページを削除するということは不可能です。その場合、ページ頭か最後に白いページが入ることになります。

※お客様が面付けをする必要はございません。

原画の描き方

絵本原画の正しい描き方。
コーナートンボ、センタートンボを必ず、書いてください。

原画の描き方例

■失敗例

原画の描き方失敗例

この失敗例の作品を印刷するとこのようになります。

原画失敗例3

無線綴じご注文のお客様でよくある間違い

見開きで原画を描いているのに、中央部分をわざわざ白くしているのは間違いです。

このようなレイアウトですと、完成したページに白い線が出ます。
のど部分が7ミリみえなくなるからといって、わざわざ白くする必要はございません。
無線綴じでも下のように見開きで原画を描いているときは、のどに白い部分をつくらずに、見開き全体をレイアウトしてください。

charenge

初めてデータ入稿をされるお客様のための「絵本レイアウトにチャレンジ」もご確認ください。

もっと絵本創作について知りたい方は

絵本教室アミーニでは、大阪で絵本教室をひらいています。
aminibn

 

 

絵本創作のための参考本
原画を描くまえに、読んでおくのをおすすめします。
詳しくは、「絵本の作り方・書き方」を参考にしてください。

絵本書き方参考本一覧